「今日も、まだ終わっていないことがたくさんある」。朝からそんなふうに感じる日でも、お茶の香りがふっと心地よく感じられる瞬間はあるかもしれません。
一日全体を採点すれば、いろいろ気になる。でも、このカップの温かさは好き。窓から入る光も、ちょっといい。その小さな感覚に、少しだけ居場所をつくってみるのが今回のテーマです。
エイブラハムの教えに登場するappreciation(アプリシエーション)を、ここでは「今、いいなと思えるところに目を向け、味わうこと」という入口から紹介します。大きな感謝の気持ちをつくろうとせず、まずは本当にそう思える「好き」を一つ探してみましょう。
1.「ありがたいはず」より、素直に「これ、好きだな」
appreciationは、感謝や、よさを認める気持ちなどを表す言葉です。ただ、日本語の「感謝しなきゃ」という言い方で考えると、急に宿題のように感じることもありますよね。
たとえば、疲れて帰ってきた夜。「住む家があるのだから、不満を言ってはいけない」と自分を説得しようとすると、疲れた気持ちの置き場がなくなってしまいます。
そんなときは、範囲を小さくしてみます。「今日は疲れた。それでも、この椅子の座り心地は好き」。一日についての気持ちを変えなくても、一つの好きな点なら見つかるかもしれません。
全部をよく思えなくても、一部分を心地よく感じてよい。これが、この記事で大切にしたい距離感です。「感謝」と「appreciation」のどちらが上かを決める必要もありません。自分にとって、無理のない言葉を選べば大丈夫です。
2.エスターが紹介した「The Pointing Game」
エイブラハムの教えを伝えるエスター・ヒックスは、2024年8月14日の公式サイトの文章で、自分が「The Pointing Game」と呼んでいる習慣を紹介しています。
内容は、好きなこと、望むこと、興味を感じること、よい気分になることなどをリストにするというもの。数週間続けるうちに、リストが長くなったとエスター自身が書いています。
これは、エスターがそう呼んでいる実践の紹介です。また、対象は「すでに持っているもの」だけに限られていません。
今回は、その中の「好きなこと」に注目して、目の前の日常から始める形にしてみます。願いをたくさん並べるのが今の気分に合わなくても、好きな色や、使いやすい道具なら思い浮かべやすいことがあります。
たとえるなら、写真を撮るときに、景色全体から一輪の花へそっとピントを合わせるような感じ。周りの景色が消えるわけではありません。ただ、その花の色や形を、少し丁寧に眺める時間が生まれます。
3.一つ見つけて、言葉にして、少し味わう
ここからは、公式の紹介をヒントに本記事で整理した、短い練習です。何分続ける、何個書くといった達成条件は設けず、気が向いたときに試してみてください。

① 今、無理なく好きだと思えるものを一つ
目に入るものでも、聞こえる音でも、手触りでもかまいません。お茶、空の色、よく使うペン、落ち着く椅子。ほかの人が「それだけ?」と言いそうなものでも、自分が好きなら十分です。
人生で一番ありがたいことを探そうとすると、考え込んでしまうかもしれません。まずは「この靴下、肌触りがいいな」くらいの小ささでどうでしょう。
② どこが好きなのか、短く言葉にする
「コーヒーが好き」から、もう一歩だけ具体的に。「この香りが好き」「最初のひと口の温かさがいい」。心の中で言っても、メモに一行書いても大丈夫です。
立派な理由をつける必要はありません。「形が丸くてかわいい」「この音を聞くと落ち着く気がする」。自分の感覚に合っているかを目安にします。
③ その感じを、ほんの少し味わう
次の項目を急いで探さず、今見つけたよさに少し目を留めます。カップの温かさを感じたり、窓の外を眺めたり。そのまま日常に戻っても、自然に別の「好き」が浮かんだら続けてもかまいません。
リストの長さは成績表ではありません。一つだけの日も、何も書かない日もあってよい。続けるための気合いより、「今、これをしていて負担がないかな」を確かめてみましょう。
4.朝、仕事の合間、帰宅後ならこんなふうに

朝:慌ただしい中にも、好きな香りがある
予定を確認していたら、もう出かける時間。そんな朝に「最高の一日だ」と言い切るのは、ちょっと難しいかもしれません。
そこで、「このお茶の香りは好き」と一つだけ。忙しさをなかったことにせず、出発前のひと口を味わいます。時間がなければ、無理に立ち止まる必要もありません。
仕事の合間:今日全体ではなく、目の前の一点
仕事が思うように進まない日。作業の区切りに、ふと手元のペンに目を向けて「これ、引っかからずに書けるな」と気づくことはできるかもしれません。
あるいは「さっきの説明はわかりやすくて助かった」と、具体的なやり取りを思い出す。相手のすべてを好きになろうとせず、助かった一点を受け取ります。その後は、確認すべきことを確認し、必要な仕事へ戻ります。
帰宅後:片づいていなくても、落ち着く場所はある
洗濯物は残っているし、部屋も理想どおりではない。それでも、椅子に座ったときの感じや、手を拭くタオルの柔らかさは好きかもしれません。
「家は完璧」と話を大きくせず、「この手触りがいいな」と、そのまま受け取る。好きな点を見つけたからといって、気になっていることを放置すると決めたわけでもありません。
5.特別な出来事を待たずに、今を楽しむヒント
エスターは2022年6月22日の公式の文章で、ジェリーと飲み物を買い、マリーナを見渡す場所で座って過ごした思い出を紹介しています。
その場所にあった紫色の椅子は、後に別のものへ置き換えられました。それでも二人にとって「紫色の椅子を探そう」という言葉は、人生を楽しみ、味わえる場所を見つけようという意味で使われていたそうです。
この話から日常へ持ち帰れるのは、特別な成功や遠い旅行を待たなくても、今ある時間を楽しむ余地を探せる、というヒントです。もちろん、同じ飲み物や同じ椅子を用意する必要はありません。
自宅の窓辺でも、いつものベンチでも。「ここ、けっこう好きだな」と感じる場所があれば、そこが自分なりの入口になります。お金をかけたり、人に見せるために素敵に整えたりしなくてもよいのです。
6.何も見つからない日は、探すのを休んでいい
気分が沈んでいるときに「好きなものを見つけよう」と言われても、うまく浮かばないことがあります。そのときに、できない自分を採点する材料にはしないでおきましょう。
公式公開の『Ask and It Is Given』第16章の抜粋では、望む方向へ思考を穏やかに向けることが説明され、すぐによい状態へ移らなければという焦りにも触れられています。
この穏やかさを大切にするなら、「今は疲れているな」と認めて、今日はここまででもよさそうです。よい点を探すことが重荷になるなら、休む、水分をとる、頼れる人に話すなど、目の前で必要なことを優先してください。
また、困りごとに対応することと、小さなよさを味わうことは両立します。嫌な扱いを我慢する義務も、被害に感謝する義務もありません。必要な相談や対処を、気持ちの持ち方だけで置き換えないことが大切です。
「もっと感謝すれば必ず願いがかなう」「うまくいかないのは感謝不足」といった結論にはつなげません。この練習を、出来事の原因や結果を判定する物差しにしないでください。
まとめ:今日の「好き」は、小さくていい
今回は、エスターが紹介したリストづくりをヒントに、身近な「好き」を一つ見つけ、具体的に言葉にし、少し味わう方法を考えてみました。
たくさん見つけることより、本当にそう感じられることを大切に。今日全体に満足していなくても、一杯のお茶や一つの道具を好きでいてかまいません。
気持ちが重くてこの入口が遠く感じるときは、エイブラハムの「感情の22段階」を解説した記事もどうぞ。今の気持ちから無理なく考える視点を紹介しています。
今、少しだけ「これ、好きだな」と思えるものは何でしょう?浮かんだら、それをひとつ。浮かばなければ、今日はそのままで大丈夫です。
参考にした公式資料
以下の公開資料を2026年10月7日に確認しました。放送案内のページは、日程の案内ではなく、エスター本人が記した文章の出典として掲載しています。
- Abraham-Hicks公式:2024年8月14日のエスターの文章(The Pointing Gameの紹介)
- Abraham-Hicks公式:2022年6月22日のエスターの文章(紫色の椅子の思い出)
- Abraham-Hicks公式:Ask and It Is Given 第16章抜粋(穏やかに思考を向けるという教え)
アイキャッチと本文中の図解・挿絵はAI生成です。


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